(より安全で快適な透析のために....)
当院では、透析患者様により良い透析治療を提供するため、オンライン血液ろ過(オンラインHDF)を全台で施行しています(長久保病院28台、三和クリニック25台)。
はじめに
当施設では患者様によりやさしいオンラインHDF(血液ろ過透析)が保険医療として認可された際、比較的早期に全台オンラインHDF対応の透析装置に変更、導入し現在も安全に施行しております。
また、最近では透析患者さんの高齢化に伴い、フレイル(心身の虚弱)、サルコペニア(筋肉量減少)といった問題がおきております。以前は食事制限が中心だった栄養指導から、むしろ高齢患者さんではフレイルやサルコペニアを進行させない運動&栄養(摂取)指導に重きが置かれるようになりました。
長久保病院でも2018年からエルゴメーター(足でペダルを回す運動器具)を導入して透析中の運動療法を開始しました。また、管理栄養士さんが個々の患者さんへの栄養指導や患者さん向け勉強会や運動指導を行っております。
昼間お仕事をしながら維持透析を希望の患者様には夜間透析もご利用いただいております。国立市矢川駅の長久保病院、立川駅南口の三和クリニックにてご利用いただけます。
何か不明点がありましたら、ご遠慮なく当院のスタッフまでお問い合わせください。
副院長・透析部長 中村健三
オンラインHDF
HDF(血液ろ過透析)は、HD(血液透析)とHF(血液ろ過)の両方の特性を持つ透析療法です。
当院では透析液をそのまま補充液に利用するオンラインHDF対応の装置を全台設置しておりHDと比べより老廃物を除去することができ透析中の血圧低下、皮膚の痒み、関節の痛み、貧血などの症状改善に有効と言われています。
腹膜透析(PD)について
末期腎不全になると血液浄化療法が必要になります。 血液浄化療法には3つの治療方法、血液透析、腹膜透析、腎移植があります。
実際には日本では9割以上の患者さんが血液透析を行っておりま すが、週3回通院、シャント血管に2か所穿刺して1回4時間から5時間ベットに横になっていなければならず、食事制限(カリウム摂取制限、タンパク質摂取制限など)や飲水制限などがあります。
一方、 腹膜透析は腹部に挿入したカテーテルから腹膜透析液を一日4回程度、自分で出し入れして血液を浄化する方法です。
条件が許せば、昼間の交換はせず夜の就寝時間に機械で自動的に腹膜透析液を 交換してくれる透析方法も可能です。当然、血液透析のような週 3 回通院という時間的拘束はなく、食事制限も緩いです。飲水制限は場合によりはあります。血液透析より時間を自由に使えるのが最大のメ リットです。
注意点としては、腹膜透析は5~7年程度で腹膜機能が低下して、いずれは血液透析 (または腎移植)が必要になってしまうこと、カテーテル感染や腹膜炎などの合併症でカテーテルを抜去しなければならないことがあるなどです。
当院では 2020 年から腹膜透析を導入しました。 当院ではバクスター社の腹膜透析液、チューブ接続機器、夜間の自動腹膜灌流用装置を採用しており ます。
腎臓リハビリテーション(概要)
当院では電動サイクルマシン《エスカルゴ》と負荷量可変式エルゴメーター《てらすエルゴ》を使用し透析中の運動を行っています。
透析患者さんにおいてもトレーニングにより体力・筋力は改善することが確認されています。体力が上がると生命予後が良いこと、運動回数が多いほど生命予後が良いとされています。
腎臓リハビリテーション用の機器導入(詳細)
"腎臓リハビリテーション"は、CKD(慢性腎臓病)患者様に対し、運動療法を中心としながら食事療法も含めて包括的な介入を行っていく新たなリハビリ手法です。
その際に運動療法として患者様に実施していただくための機器を新たに当院透析室に導入いたしました。
こちらの昭和電機グループ社「てらすエルゴ」は、その"腎臓リハビリテーション"用に開発された機器です。
"エルゴメーター"といわれる機器で、自転車こぎに似た運動を行います。
透析中でも実施できる形になっているもので、(透析中にも行えるために)効率的に運動療法が実施できます。
写真のように、透析中でも、ベッドの上でそのまま運動ができる機器です。
自転車こぎのように下半身でペダルを踏み込みまして、そして連続して運動をしていきます(あらかじめ機器の方に、適切な負荷をつけておきまして)。
状況はリアルタイムでモニターをしていきます。データの管理についてはアプリを利用しても管理することもできます。
動画でのご説明はこちらをご覧ください。
管理栄養士
当院管理栄養士は、健康運動指導士の資格も持っているため、栄養指導や運動指導も行います。
送迎サービス
当院送迎車2台と民間業者を利用し、交通手段がない方、歩行通院が難しい方、車いすの方には送迎を行っています。お気軽にご相談ください。
入院・手術
体調のすぐれない方は長久保病院への入院が可能です。 症状改善、体力つくまでの間、入院透析も考慮します。シャントトラブルにも早急に対応(入院シャント再建術・外来シャント血管拡張術)しております。
空気清浄機サリール設置
サリールは大量のマイナスイオンと微量のオゾンを含んだ微風を発生させ、O-157やインフルエンザウイルス、カビ菌などに対しサリールの放出するマイナスイオンが捕捉、オゾンが酸化させます。除菌・脱臭・集塵・消煙の効果を発揮感染予防に努めています。
透析開始時間
(注記)月水金の祝日の2クール目は14:00~のみになります。
※ご希望の方には一食あたり500円でお弁当を提供しています(火・木・土の午後は除きます)。
(ご連絡:2020/03/12)なお、お弁当は現在、新型コロナウィルスの関係でお出しできなくなっております。ご了承お願いいたします。
<補足:透析情報> 透析治療の方法とその種類について
(はじめに...) こちらでは、前述の"オンラインHDF"の情報を含めまして、その透析療法について以下、記載・補足をいたします。
(その1) 透析療法のうち、血液浄化法として現在、一般的に行われている方法は、血液透析(HD)です。 → (別記1:HD?)
そのおおまかな流れとしましては、血液を一度体外に取り出して機械に通して(その際に血液を綺麗にします)その上で身体に戻します。 → (別記2:HDの導入割合等)
血液透析におきましては、"透析器"(ダイアライザー)に通して老廃物や余分な水分を取り除き(拡散を利用して)、そして綺麗な血液に戻していきます。 → (参考1:当院の透析機器です)
(その2) 血液浄化法として、おもに濾過により老廃物を取り除く方法が、血液ろ過(HF)です。 → (別記3:HF?)
HFでは、圧力をかけて血液を文字通り"ろ過"して(血液ろ過器を通しまして)、そして余分な水分や老廃物を除去していきます。
(その3) さらにその血液透析と血液ろ過を兼ねた(いわば両方の長所をあわせた)方法として、血液透析ろ過(HDF)があります。 → (別記4:HDF?)
そのアルファベット表記からもわかりますように、前記のHDとHFを合わせた(両方を取り入れた)形になります。そしてHDとHF双方のメリットを受けられる方法とも言われております。
(その4) なお、更にそのHDFの分類として、オンラインHDFといわれるような、透析液をそのまま補充液として利用する方法(オフラインHDFといわれる市販のバックなどから補充液を使用する方法でなく)もあげることができます。 → (別記5:オンラインHDFなど補足情報)
補足としましては、そのオンラインHDFについて、透析治療を行っている医療機関内での導入割合としては、血液透析と比較するとまだ低い割合であるようです(その導入要件の高さなどを背景としまして)。
(補足です....) なお当院では、そのように、より透析患者様の負担を軽減いただくこと等考慮いたしまして、オンラインHDFを現在導入いたしております。 → (参考1:当院透析設備の詳細・技術情報です)